住宅リフォームのセールストーク その2(作業車トーク)
<作業車トーク>
(以下、APはアポインターです。)
<AP>(ピンポーン、インターフォンの鳴る音)こんにちはー、お昼過ぎにこの近くで作業をする者なんですけどー、いやー、この近くって車を停める場所が無くって、、、すみません、申し訳ないんですけど、ご主人さんのところの家の前に、うちの作業車を停めさせてもらえないですかね?
<お客さん>え、作業ってどこでやるの?
<AP>この先なんですけど、この辺りって道が狭いもんで、なかなか車を停められないんですよね。だから、ご近所にあいさつしながらお願いしてるんですけど、みなさんに断られちゃって、、、10分とか15分くらいの間でいいんで、恐縮なんですけど、、、。
<お客さん>10分くらいならいいよ。
<AP>えー、本当ですか!ありがとうございます。助かりましたよ! ほんと、みなさんに断られてたんで、どうしようかって言ってたとこなんですよ。
<お客さん>だって、車停めるだけでしょ?
<AP>ええ、停めるだけです。それじゃ、また後で来ますんで。車停めるときにまた声だけかけますんで、、、。(ちょっと、間をあけたあと)あ、ご主人さん、それとさっきここに来るときに気になったんですけど、ご主人さんとこのアレ、危ないですよ。
<お客さん>え、何が?
<AP>いやあ、ご主人さんのところ、屋根の上にアンテナが載ってるじゃないですか。アンテナの針金がゆるんでるんで、アレ、ほっておくと、台風が来たときとか、倒れちゃいますよ。
<お客さん>そっかー、わかんなかったなあ。普段、屋根の上とかあんまり気にして見ないからね。
<AP>そうですよね。僕でよかったら、車、ここに停めさせてもらうんで、そのお礼にアンテナ、直して上げますよ。
<お客さん>本当?でも悪いじゃない?
<AP>車停めさせてもらうお礼ですよ。それに、アレ、すぐにでも直しておかないと、ほんと危ないですからね!
<お客さん>そっかー、じゃあ、頼むよ。
<AP>わかりました。あとでまた来ますんで。ご主人さん、今日、ずっと家にいますよね。
<お客さん>うん、いるよ。
<AP>来たとき、また声かけますね。それじゃ、車だけお願いします。
トークの解説
このトークは、業界で「作業車トーク」と呼ばれているものです。
作業車をお客さんの家の前に停めさせてもらうお礼に、アンテナなり、かわらなり、家の傷んだ部分をちょっと補修してあげるというトークです。
「作業車を停めさせてもらうかわりに、作業をしてあげる」というのがポイントになります。
このトークのコツは、「なるべく恐縮したような感じで喋る」というところです。
リフォーム営業の基本は、職人らしく大声で、ちょっと強気な感じで行くのが普通のやり方ですが、このトークの場合は、その強気のトーンを下げて、腰を低く、「お願いする」というスタイルで喋るとアポが入ります。
「お願いする」といっても、「アンテナを直させてください」とお願いしては駄目です。
あくまで、「車を家の前に停めさせてください」ということで、お願いするのです。
普段でも、誰かにモノを頼むときに、横柄な態度で頼んだら、頼まれる方もあまりいい気持ちはしないでしょう。
短いトークの中でも、顔の表情に変化をつけたり、声の大きさを変えたりといったことを住宅リフォームの飛び込み営業マンたちは毎日訓練してやっています。