飛び込み営業の仕組み




 ここでは、住宅リフォームの飛び込み営業の仕組みを説明します。

 マーケティングの分野と関連しますが、住宅リフォームの飛び込み営業は完全なワン・トゥー・ワン・マーケティングです。

 と、こんな風に書くと少しは格好がつくかと思いましたが、要するにドブ板営業です。
 住宅街を一軒、一軒飛び込んで、自分と相性の合いそうなお客さんをひたすら探すという感じです。

 あまり細かい仕組みは無さそうだなと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。住宅リフォームの飛び込み営業にも一応はしっかりとした、アポから受注までの流れが存在します。

<住宅リフォーム 営業の仕組み>


1、まず、営業マンはアポインターとクローザーに役割が分かれます。

  • アポインター・・・住宅街を一軒一軒たたいて、お客さんになりそうな人を見付ける役割の人のことをいいます。

  • クローザー・・・アポインターが見付けたお客さんと商談をし、契約を締結する人のことをいいます。

→何人かでチームを組み、アポインター数人が住宅街を飛び込み営業をしつつ、クローザーがアポを消化して行くという流れが一般的です。

2、クローザーがリフォームの契約に成功したら、クローザーはお客さんと信販の契約をしたり、工事日の設定をします。

3、工事のあいさつまわり

→お客さんの家のまわりを、アポインターは「工事のあいさつまわり」を口実にして営業をかけていきます。「御近所がリフォーム工事をする」ということで、この工事のあいさつまわりでの、契約率というのは高くなります。

4、着工、あいさつまわり

→工事が始まってからも、お客さんの近所に対して、「音がうるさくないですか?」とかなんとか言って、あいさつをして近所をまわります。ここでも、近所と仲良くなればそのままリフォームの契約を取る可能性も出てきます。

5、工事終了 →工事が終了したら、また1に戻って最初から飛び込みをします。

<概論>


 これを読んで、「何だこれだけか」という感想をもった方もいるに違いありません。

 そうです。これだけです。この、「一軒、一軒、飛び込み営業をして、受注し、また飛び込み営業をする」という、非常に単純な作業を百年一日のごとく繰り返すのが、飛び込み営業の世界です。

 飛び込み営業は最初はつらいものですが、慣れてくると、「これくらい楽な仕事はない」という気分にさえなってきます。というのは、飛び込み営業は単純作業だからです。それから、世間一般の仕事とは異なり、営業に出ている間というのは、ほとんど上司の監視の目から逃れて、好き勝手に、のんべんだらりと公園で昼寝をしているということも可能です。

 私自身も、住宅リフォームのアポインターをやっていた頃は、よく公園で昼寝をするということをやっていました。飛び込み先が割りと都会に近い場所であると、ファミレスがあったり、ゲームセンターや、喫茶店などがあったりするものですから、サボる場所としてもってこいです。

 「アポがとれた」、「契約がとれた」営業マンは、多少サボっていても、上司からあまりガミガミと怒られないのが営業の世界です。また、営業成績が悪くても、コツを覚えると営業時間中にうまくサボることはそれなりに可能です。それくらい、外回りの営業はサボりやすいということです。

<職業選択の観点から>


 これを読んだ方の中で、「飛び込み営業はどうやらサボりやすい、楽チンな営業みたいだな、俺もやってみようかな」と思われる方もいるかもしれません。

 しかし、職業選択の観点からは、あまりこれはオススメできないことです。

 というのは、飛び込み営業というのは、飛び込み営業だけあって、非常に苦しい仕事であるにもかかわらず、世間から職業的なスキルという意味で評価されない仕事だからです。

 会社の人事担当は、そういうことをよく知っています。それは飛び込み営業が単純なビジネスモデルに基づいた、それほど複雑な仕事でない、要するに誰でも出来る仕事だということをです。

 若いうちは、「飛び込み営業をやっていました!」などというと、「根性のある若者だ。若いのに苦労を買って出るとは実に見上げたものだ!」などといって、その根性を高く評価してくれる人もいないわけではありません。

 しかし、年齢が上がるにつれて、飛び込み営業しかやったことがないというと、どんどん転職市場における評価は下がります。

 もちろん、「三度の飯よりも飛び込みが好き!」という人は、飛び込み営業をずっとやっていてもかまわないでしょう。

 実際に私は職を転々としていた頃に、それは飛び込み営業ではなくて、不動産の電話営業でしたが、50代の電話営業マンと遭遇しました。その方は電話営業がやたらと好きで、もう25年間も電話営業の世界でやっていて、受話器を持って死にたいとまで豪語されているトップセールスマンでした。

 それくらいの方でない限り、中途半端に飛び込み営業を続けてしまうのはあまりよくないという感じがします。
 昇進をしたとしても、アポインターからクローザーに昇格し、もっと上にいくと部長だとか支店長だとかに昇格していくわけですが、やっている仕事の内容はあまり変わりありません。

 昇進しても、「お前ら、今日、売ってこいや!アポ、どないなっとるん!?」と毎日、部下たちを怒鳴り続けるという日々が待っています。

 もちろん、そういう世界が好きで、その世界で骨を埋める覚悟があるのなら、飛び込み営業をずっとやることもアリかもしれません。

 でも、実際に営業会社に入ってみると結構しんどいもんですよ。

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